2年前に発生した東日本大震災以降、私たちの災害に対する考え方が変わってきました。
それ以後も、全国各地で、火山噴火や降灰、竜巻、台風、洪水、土砂崩れなど多くの災害が発生しています。
新潟県でも、中越地震や中越沖地震、そして県境付近で長野県北部地震が起きていて、土器の破損など文化財にも大きな被害を及ぼしています。
このような中で、過去の歴史の中で、どのような災害が起きてきたのかを改めて認識していこうという考え方が始まっています。
また、自分たちが住む地域が、どのような土地の形成の由来を持っているのか、周辺では、どのような災害が起こりうるのかを知り、災害が起きた際の対応について学習するようになってきています。
遺跡の発掘調査のイメージは、当時の人々の暮らしの道具である土器や石器などの遺物や構築した住居、建物、古墳などの遺構を掘りだすことでしょう。
しかし、発掘調査では、発見された遺物や遺構がいつの時代のものか、どちらが古いのかなどを地層を観察して、その判断の手掛かりの1つとしています。
地層を観察すると、地層が切れた場所(断層線)や液状化現象による墳砂、土石流の跡などを見つけることができます。
これは、過去の災害の跡なのです。その確認は縄文時代や古墳時代などまだ文字記録などが無い時代のものも分ります。近年、新潟県内においても発掘調査によって信濃川上流域の縄文時代のムラや南魚沼市の古墳時代の水田が土砂崩れよって埋められたことがわかっています。
平安時代以降になると文字記録が残っており、江戸時代には、現在と変わらない災害が発生したときの対応がとられています。災害の状況を把握し、記録に残して後世に伝えようとする絵図や書物もあります。
日本中の名勝と呼ばれる場所は、災害の跡の場合があります。例えば、長野県の「鬼押し出し」は、浅間山の噴火による溶岩流の跡ですが、現在は、観光地として多くの人々が訪れています。津南町の「石落とし」に見られる立派な柱状節理の岩壁も火山活動による溶岩が流れたあとなのです。
これまで、名勝やただの地形、岩と考えらえた場所が、災害が起こった場所であるという由緒を知り、学び、またそれを後世に残して伝える。このような大地の活動とその上に育まれた動植物などの自然環境、そして人々の活動や文化を総合的に考えていこうとする考え方があります。それが、「ジオパーク」です。「大地の公園」と翻訳されますが、目的は、自分たちが住む地域を学ぶ事によって郷土愛を育み、防災に供え、また、地域の魅力を多くの人々に発信することです、そしてそれにより多くの人々が訪れ、学び、交流が生まれ、地域の活性化にもつながります。
自分たちが住んでいる場所がどのような所なのか、万が一、災害が起こった際には、どのように対応するのか、地域の地形や歴史について家族で学びでみてはいかがでしょうか?