考古学コラム Archeology Column

コラムNo.23 本物の縄文暮らしをめざして その1

三条市の五十嵐川流域のフィールドは、古くから長岡市立科学博物館の中村孝三郎先生によって調査され、三条商業高等学校社会科クラブ考古班、三条考古学研究会の方々など、子供の頃から土器や石器を追い求め、考古学に親しんでいる人達をぞくぞくと輩出している土地柄です。そこで三条考古学研究会の人呼んで“縄文達人衆”の4人を講師に迎え、あくまで「本物」にこだわった遺跡体験講座をしようということになりました。

五十嵐川で石材を拾い、ナイフ形石器や、磨製石斧を電動工具は使わず、作り上げ、使ってみる、それに縄文食体験も加えた内容で、ポスター・チラシ・市の広報・ホームページ・口コミで募集すると、よくこんなにいろんな人が集まったなという20代から70代の老若男女が集まりました。最も驚いたのが20代から30代前半の若い女性がそれぞれ単独で3人も申し込んできたことです。何がうら若き女性の心をとらえたのか疑問でした。

御淵上・中土・赤松・藤平という五十嵐川流域の著名な遺跡の名前を班名にし、その遺跡のイメージに合う縄文達人衆にリーダーになってもらい、講座が始まる前に、班編成をしました。ちょうど縄文一家を4家族作るように・・・。

第1講は、「石材探しの旅」とし、その多様な人たちの初顔合わせとなりました。子供の頃から表採していた50代男性、田舎にあこがれて福島県昭和村のカラムシの里を訪れ、購入したカラムシストラップを見せてくれた20代女性、若い頃鍛冶職人をしていて石の斧の作り方を知りたかったという70代男性、大学の時考古学を勉強したアウトドア派の30代女性、子供の頃縄文の山里の環境で過ごした50代女性、大学で樹木の講師をしている50代男性、化石探しが趣味の40代男性、個性的な人が多く集まりました。

 「石器に魅せられて」と題した座学で、石器や石材の基礎知識を勉強してから「石材探しの旅」に出かけました。この旅は新たな発見あり、アクシデントありの波乱に満ちたものとなりました。旅の話はその2でします。