考古学コラム Archeology Column

コラムNo.2 中越地震と博物館資料

十日町市博物館 石原正敏

2004年10月23日夕刻、新潟県中越地域を未曾有の強い地震が襲った。十日町市博物館においても国宝・笹山遺跡出土品などに甚大な被害があった。国宝のうち深鉢形土器57点は、火焔型土器№1を含む20点に緊急修理の必要な破損が生じたが、東京で保存修理中の4点を除く33点は幸いにも軽微な破損で済んだ。バラバラに壊れた土器群を目の当たりにした時、現場作業等で汗を流していただいた大勢の人の顔が浮かんできて、涙が止まらなかった。新聞報道等によれば、長岡市立科学博物館収蔵の重要文化財・馬高遺跡出土品などにも大きな被害があったという。辛く苦しい思いをしているのは自分たちだけではないと感じた。

 この度の地震では、国宝のほかにも整理室や収蔵庫に保管していた土器類がかなりの数で被害を受けた。免震台や「てぐす」が横揺れの地震において有効であることはこれまでも指摘されていた。しかし、下から突き上げるような直下型の地震の場合にはあまり効果がなく、かえって土器の内に砂袋を入れておいたり、棚に何段か紐を張っておく方が崩落防止にはある程度有効であることが明らかになった。

 被災後、全国各地から数多くのお見舞い等をいただいたことに心より厚く感謝申し上げるとともに、国や県に支援をお願いして、一日も早い復旧と展示公開を実現していきたいと思っている。